日本学術振興会カイロ研究連絡センター定例懇話会(対面) (2023年度第4回のお知らせ)

日本学術振興会カイロ研究連絡センター定例懇話会(対面) (2023年度第4回のお知らせ)

(BCC配信で失礼いたします。また今回は日本時間深夜のためオンライン配信はありません。ご了承願います)

暑さが少しおさまり、夜半を過ぎると涼風が感じられる頃となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。第4回懇話会では、ともにイスラーム美術史をご専門とされる早稲田大学の小林一枝先生と東京大学の桝屋友子先生をお迎えいたします。14世紀からイスラーム世界で人気のスタイルとなっていた錯視を応用した絵画や、19世紀末にフスタートで発見された様々な陶片をめぐる世界的な文化の流通についてお話しいただきます。

 

今回は、対面のみで開催いたします。ご講演後の懇親会も企画し、先生方御一行との懇親を深めたいと存じます。こちらにも是非ご参加ください。ご参加の手続きは、以下のリンク先のGoogleフォームにてお願いいたします。

敬具

 

 

◆ 日時:2023年9月28日(木)開始時間:カイロ18:30時から  講演:各30分 質疑応答:30分

 

◆ 講演:「イスラーム絵画の「あそび絵」要素」

◆ 講師:小林一枝(早稲田大学国際教養学部非常勤講師)

◆ 要旨(講師記)

古壁のシミや木目が動物に見えたりする一種の錯視をパレイドリア現象という。これを美術に応用した作例が近年多く見られるようになり、西洋ではアルチンボルド(16世紀)がこの分野の嚆矢とみなされている。が、イスラーム世界では既に14世紀から岩を動物や人間の顔で構成した絵画要素や、「寄せ絵(ある物を集めて一つの形とした絵)」と同種の絵画要素がもてはやされ、それらはイランの工房のみならずインドの工房でも制作された。イスラーム絵画史ではこれらは中国絵画の影響を示すものとして研究されてきたのであるが、それらを今回、簡潔に私見を交えて紹介する。カイロの美術館や図書館に所蔵されている写本挿絵を見るときの密やかな楽しみとなれば幸いである。

 

◆ 講演:「カイロ・パリ・倉敷――世界をつなぐ陶片たち」

◆ 講師:桝屋友子(東京大学東洋文化研究所教授)

◆ 要旨(講師記)

1881年よりカイロ在住の、フランス人医師・エジプト骨董品蒐集家ダニエル・マリー・フーケ(1850〜1914)は1886〜87年の冬、カイロ南部フスタートの遺構に無数の古陶片が埋まっていることを発見した。彼が採集した陶片にはあらゆる時代のエジプト製イスラーム陶器をはじめ、スペインからイラン、中国製の陶器も含まれており、カイロにおける多様な陶器の流通を証言する。彼の死後、陶片の多くはフランスに移送され、古物商預かりとなったが、倉敷の実業家大原孫三郎(1880〜1943)のために美術品収集を行なっていた洋画家児島虎次郎(1881〜1929)は1922年の渡欧の際約400点を選定し、それが大原美術館の所蔵となった。世界からカイロに集められた陶器のかけらが、今度は世界に広がっていく、日本にまつわる一例を概観する。

 

  • 参加方法:講演は無料となっております。参加希望者は、講演(聴講無料)及び懇親会(参加費50EGP)の申込内容を、Googleフォームにご記入の上、前日までに送信ください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfF4Dhr9mcJ4qKgtZJcHdui3xYIw-YgiqaVYhPtaTBgW8BHFw/viewform?usp=sf_link

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