日本学術振興会カイロ研究連絡センター定例懇話会(対面) (2024年度第6回のお知らせ) 日本学術振興会カイロ連絡センター開設40周年記念 ~~日本学術振興会カイロ連絡センターと井上円了哲学センターの交流~~

前略、第6回懇話会では、東洋大学井上円了哲学研究センターから4名の研究者をお迎えいたします。伊吹敦先生、長谷川琢哉先生、ライナ・シュルツァ先生、出野尚紀先生方は、井上円了の哲学を中心に、自分たちの最新の研究について語ります。自然界・日常界と不可視界を繋ぐ妖怪、内なる心の静寂としての禅の精神、精神の奥深きところに潜む美意識・・・西洋化され、合理化・機械化された現代の我々がとうの昔に忘却した東洋の叡智をもう一度呼び覚まし、慌ただしく過ぎ去る日々の喧騒に埋もれた感覚を揺さぶる、深遠なる時間となるでしょう。

 

今回は、対面のみで開催いたします。ご講演後の懇親会も企画し、先生方との懇親を深めたいと存じます。こちらにも是非ご参加ください。ご参加の手続きは、以下のリンク先のGoogleフォームにてお願いいたします。

◆ 日時・場所:2024年11月2日(土)開始時間:カイロ17時半から(開場17時)

場所:日本学術振興会カイロ研究連絡センター

講演:80分 質疑応答:40分

◆ 講演:井上円了、迷信、禅、恥、良心、インド美学

◆ 講師:東洋大学法学部教授 長谷川 琢哉・東洋大学文学部教授 伊吹 敦・東洋大学情報連携学部准教授 シュルツァ・ライナ・東洋大学井上円了哲学センター客員研究員 出野 尚紀

◆ 要旨(講師記)

東洋大学法学部教授 長谷川 琢哉

「井上円了と哲学を学ぶ理由―哲学者・井上円了は、なぜ「妖怪博士」でもあるのか―」

東洋大学を創設した井上円了は哲学者であると同時に、妖怪学という学問を創設した「妖怪博士」としても知られている。哲学と妖怪学にどのような繋がりがあるのか。本発表ではこの問いに対して、不思議な現象(「妖怪」現象)を合理的に解明するという円了妖怪学の特徴を明らかにした上で、「迷信」という概念に注目する。円了にとって「迷信」とは迷う心(「迷心」)によって生じるものとされ、迷いから脱して安心して生きるという円了の哲学と妖怪学に共通する目的を明らかにしたい。

 

東洋大学文学部教授 伊吹 敦

「禅思想史研究とは」

主な研究対象は、いわゆる「初期禅思想史」で、今日、「禅宗」に特徵的なものと見られている修行形態や思想がどのようにして形成されたかを明らかにすることを目的とする。主として使用する資料は、敦煌遺書や金石文、伝世資料等で、それらを綜合することで、禅の形成過程を再構成する作業を行う。禅宗は、インドで成立した仏教が、全く価値観を異にする中国に浸透する中で成立した独自の仏教であり、その形成過程の解明は異文化交流による新しい価値の創出という現代的な課題にも連なるものである。

 

東洋大学情報連携学部准教授 シュルツァ・ライナ

「井上円了研究から比較倫理学へ:知的自伝の断片」

このプレゼンテーションでは、私のこれまでの主な出版物を紹介し、井上円了研究から現在の研究の中心テーマへと至る道筋を描きます。井上円了は比較哲学の先駆者の一人とみなされるため、私の現在の研究計画も彼の伝統を引き継いでいると言えます。近年は、比較倫理学の視点から誠実さ、恥、良心などに主に焦点を当てています。

 

東洋大学井上円了哲学センター客員研究員 出野 尚紀

「古典インド文献に見える感情と美的情感-『ナーティヤ・シャートラ』のラサ・スートラから」

インドの古典演劇論書『ナーティヤ・シャーストラ』6章において、演劇における感情表現である「ラサ」から、美感がどのように発生し、どのように人間に受け取られるのかが説かれる。このラサの解釈がインド古典美学の主要論題であり、現代でもラサの表現は芸術分野において非常に重要なファクターとなっている。インド美学において人間が本来持つとされる恒常的感情とラサの関係を話す。

  • 参加方法:講演は無料となっております。参加希望者は、講演(聴講無料)及び懇親会(日本酒あります。食べ物の持ち寄り大歓迎!)の申込内容を、Googleフォームにご記入の上、前日までに送信ください。
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