日本学術振興会カイロ研究連絡センター2025年度第1回懇話会(ハイブリッド)
前略、
このたび、サセックス大学グローバル研究科の博士後期課程に在籍され、昨年7月からエジプトにて、イギリスの大学に留学した後に帰国したエジプト人を対象に、社会的送金の実態とその背景について調査を行ってこられた薮内先生をお迎えし、講演を開催する運びとなりました。本講演では、その調査成果をもとに、これまで労働移民や特定の地域に限定されがちであった社会的送金の議論に対して、より多様な移動経験と帰還後の文脈に着目し、社会的送金の実践を左右する要因についてお話しいただきます。
今回は、対面とオンライン配信(Zoom)のハイブリッドで開催いたします。平日の開催となりますが、ぜひ多くの皆さまのご参加をお待ちしております。ご参加の手続きは、以下のリンク先のGoogleフォームにてお願いいたします。
日時:2025年4月28日(月)13:00~14:30 (日本時間20:00~21:30) 懇話会40分、コメンテーターの応答20分、質疑応答30分
言語:日本語
場所:JSPSカイロ研究連絡センター(オンライン同時配信)
◆ 講師:薮内彩季先生( サセックス大学グローバル研究科博士後期課程)
◆ コメンテーター:森千香子教授(同志社大学社会学部)
◆ 発表タイトル:エジプト人学生の帰国経験と社会的送金の実践:社会的要因と帰国者のアイデンティティ
◆ 要旨(講師記)
社会的送金とは、移民が母国社会に持ち帰る考え方、行動様式、アイデンティティ、社会関係資本などの非金銭的な資源を指す概念である。先行研究では、主に労働移民によるものや、特定の村落共同体、または移民の帰還前に行われるパターンなど、限定的な文脈で議論されてきた。そこで、イギリスの大学から帰国したエジプト人のケースに焦点を当て、社会的送金の実践・非実践の裏にある自国に対する価値観や社会的背景を明らかにしようと調査してきた。調査を通じて、エジプト人の帰国者の間では、社会的送金が特定の状況においてのみ、限定的に生じている可能性があることが明らかになった。そこで本発表では、どのような要素が、社会的送金の限定的な実践を説明する上で有効な観点となり得るのかを検討する。