2018年10月11日 2018年度第8回定例懇話会「屈折するオリエンタリズム:大正期の阿部次郎のエジプト観光から Refracted Orientalism:A Study of Egyptian Tourism of Abe Jiro during the Taisho Era」 講師:西田 昌之 PhD (人類学), カイロ大学文学部日本語日本文学学科 客員准教授 / 国際基督教大学アジア文化研究所研究員

◆ 日時:2018年10月11日(木)18:00開場 18:30講演 20:00懇親会 21:00閉会

◆ 場所:日本学術振興会カイロ研究連絡センター多目的集会室

◆ 講演:屈折するオリエンタリズム:大正期の阿部次郎のエジプト観光から

Refracted Orientalism:A Study of Egyptian Tourism of Abe Jiro during the Taisho Era

◆ 講師:西田 昌之 PhD (人類学), カイロ大学文学部日本語日本文学学科 客員准教授 / 国際基督教大学アジア文化研究所研究員

Masayuki Nishida , PhD (Anthropology), (Visiting Associate Professor at Department of Japanese Language and Japanese Literature, Faculty of Arts, Cairo University, Egypt, and Research Associate at Institute of Asian Cultural Studies, International Christian University, Japan)

◆ 要旨(講師記)

大正時代に日本から多くの旅行者がヨーロッパへ向かうようになると、その経由地であるエジプトにも観光のために立ち寄るようになっていきました。本発表では、エジプトを訪ねた東洋の旅行者である日本の知識人たちが、当時西洋からエジプトに向けられていたオリエンタリズムのまなざしをどのように了解し、屈折させながら観光を行っていたのかを考えます。そのケースとして、大正期の1922(大正11)年から1923(大正12)年に文部省在外研究員としてヨーロッパに派遣された哲学者であり、美学者でもある阿部次郎 (1883-1959年)が渡欧の途中に行ったエジプト観光の旅行記から書き起こした「埃及訪古記」、「カイロ附近」、「テーベの古都」の三作品を中心に取り上げてみたいと思います。

阿部のエジプトへのまなざしはオリエンタリズムの強い影響下にありながらも、東洋人である日本人としての視点を投げかけており、屈折しています。その分析を行いつつ、その後、このヨーロッパおよびエジプトでの旅の経験から、オリエンタリズムに対抗する世界文明に貢献する日本研究の探求に目覚めていく阿部の経緯を追ってゆきます。

尚、本論題は先の2018年9月22日から23日に開催されたカイロ大学文学部日本研究センター主催国際シンポジウム『明治以降の日本の経験から学ぶ-明治 150 周年を迎えて-』(JSPS後援)で発表されたものですが、さらに原文の解説や歴史の考証を加えて、すでにお聞きになられた方も楽しめるよう、多角的に議論したいと思います。

 

※参加:参加者は、氏名を明記の上、講演 (聴講無料) および懇親会 (参加費30LE) の申込内容を、メール(jspslecmet@gmail.com)にて、前日までにお伝えください。

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