筑波大学アコリス遺跡調査隊が、7月下旬から、現地調査を開始している。2011年1月の政変以来、地方の治安悪化に伴って、外国調査隊の発掘調査に許可がでていないために、本年は、遺物整理作業に集中する予定とのことである。アコリス遺跡は、中部エジプト・ミニアの北12kmのナイル東岸に位置する(写真1)。同遺跡は既に古王国時代に遡る遺構がみられ、以後王朝時代のほぼ全時代に加え、ギリシャ・ローマ時代(およびビザンツ時代)にわたるまでの活動痕跡を残す雄大な遺跡である。筑波大学は、1981年からこの遺跡の調査を始めているので、今年で30年目を迎えることとなる。8月中旬には、先発で既に作業を開始していた川西宏幸筑波大学教授らの考古学班(写真2)に、エジプト語・ギリシャ語の解読を専門とする共同研究班が合流し、石切り場の碑文調査(写真3)や、近郊遺跡の比較調査(写真4)等が始まり、現場は活気にあふれている。遺跡の脇に立つ宿舎(写真5)内では、遺物の実測や撮影等の作業が、連日夜遅くまで続けられている。調査は、9月中旬まで行われる予定である。(センター長記)